業種の違いによって、外注先の特性は異なります。「こんなはずではなかった」と後悔しないために、最低限の知識は把握しておきましょう。
ただ、ほとんどの制作物は下記の会社が協力(受発注)し合って作られていますので、直接取引する会社に求める機能がなくても、カバーリングすることができます。誤解なきようご留意ください。
デザイン事務所の社長(または幹部)は、優れたデザイナーであるケースがほとんどです。その意味で、(会社にもよりますが)デザインのレベルは高いと言えるでしょう。ただ、社長以上にデザイン能力がある社員がいるかというと、非常に疑問視されます。社長のデザイン能力を超えることができたら、自分で独立してしまうケースが多いからです。ですから、デザイン事務所に仕事を頼むなら、ぜひ社長か優秀な幹部に担当してもらいましょう。
どのデザイナーもデザインのクセを持っていますから、会社によって得意ジャンルが異なります。雑誌広告が得意な会社、書籍装丁が得意な会社、パンフレットが得意な会社、新聞広告が得意な会社、パッケージデザインが得意な会社などです。
会社によりますが、デザイン事務所の弱点は編集者がいない(あるいは拙い)ことです(もちろん、すべての会社を指しているわけではありません)。デザインが主要な事業となるため、優秀な編集者を育てられる環境にないからです。
ですから、編集プロダクション等の編集者がデザイン事務所に仕事を依頼すればいいツールはできますが(あるいはその逆)、みなさんが直接デザイン事務所に発注したからといって、いいツールが仕上がるとは限りません。みなさんのニーズがデザイナーに伝わるかどうかに疑問が残るからです。実際、編集者が依頼する場合ですら、的確に仕上げてもらうのが難しいほどです。
また、どちらかというと、全体的なスケジュール管理が苦手な人が多い傾向にあります。もっとも、優秀なディレクターが在籍する会社は心配ありません。
編集者同様、社内にライターが少ない(いない)のもデザイン事務所の特徴です。クライアントとなるみなさんから原稿を支給していただくか、フリーランスや編集プロダクションに原稿を依頼するケースが大半です。
編集とはそもそも、プランニングやディレクション、進行管理を行う作業を指しますので、これらが得意なのは当然です。ただ、デザイン事務所と同様、社員すべてが優秀かというと疑問が残ります。組織としてきちんとチェック体制ができている会社は安心できますが、そうでない会社もありますので留意が必要です。
会社にもよりますが、編集と原稿は作業領域として近いため、他の業種に比べて優秀なライターがいます(もちろん、すべての会社ではありません)。
もっとも、ひと昔前と比べると、優秀なライターは確実に減っています。原稿料が労力に見合わないため、この業界を離れていくケースが多いからでしょう。業界内でも、優秀なライターを探すのは難しいのが現状です。それは、「上手か下手か」というレベルではなく、「日本語として正確に書けるか否か」という、レベルの低い問題においての話です。
編集プロダクションには、デザイナーを有する会社と有しない会社があります(有しない会社はデザイン事務所やフリーランスに外注)。どちらがベターかは意見が分かれるところで、「社内にいる方が意思疎通を図りやすい」という意見もあれば、「仕事内容によって社外のデザイナーを使い分けられるので質が高くなる」という意見もあります。
いずれにしても編集者主導型で仕事を進めるため、デザイナーに直接相談したい(実際にはその必要性はないと思われる)という方には不向きかもしれません。
たとえば、パンフレットのデザインと印刷の両方を印刷会社に頼むと仮定しましょう。その際、内容の打ち合わせに参加するのは、一部の大手企業を除いて、印刷会社の営業担当者だけです。心得た印刷会社であっても、デザイナーを同行させるのみに留まります。しかし、パンフレットの内容をどのような構成にすればベストかを考える職種は、編集者あるいはディレクターです。
印刷会社には、編集者と呼ばれる職種の人がほとんどいません。制作物の内容によるので一概には言えませんが、そうした点が弱点だと言えます。
もちろん、会社によって差異が大きいため一概には言えません。印刷会社の中には、優秀なデザイナーを社内に抱えている会社もあります。ただ、デザイン事務所と比べると、レベルが落ちると言わざるを得ません。優秀なデザイナーは、自分で独立して会社を興す傾向にあるからです。
もっとも、先進的な印刷会社には、DTPオペレーティングに長けた人材が豊富です。その意味では、高度なデザイン性を伴わない制作物であれば、直接発注するメリットは多大にあります。
ある程度の制作実績がある広告代理店であっても、中小規模の会社の場合は、社内に制作部隊を抱えておらず、外部の編集プロダクションやデザイン事務所に丸投げするケースが少なからずあります。その場合、制作に関してはまったくと言っていいほどノータッチで、営業・進行管理としての機能が大半を占めます。営業することによって中間マージンをとるのが広告代理店の本来業務であるからです。
ただ、極めて高度な制作物を作る場合には、デザイン事務所や編集プロダクションに発注するよりも、ある程度の規模を持つ広告代理店に発注する方が、質の高い仕上がりを望める側面もあります。
印刷コストを考えれば、印刷会社に直接依頼するのがベストです。なぜなら、他の業種に頼むと知らないうちに何パーセントかの中間マージンがとられているからです。
一口に広告代理店といってもピンからキリまであります。それこそテレビコマーシャルを制作するような超大手企業から、1~2名で新聞・雑誌の枠広告だけを売っている会社まで。ですから、広告代理店にデザインを頼む際には、その会社および担当者にどのような制作実績があるのかをしっかりとヒアリングする必要があります。
ある程度の制作実績がある広告代理店であっても、中小規模の会社の場合は、社内に制作部隊を抱えておらず、外部の編集プロダクションやデザイン事務所に丸投げするケースが少なからずあります。その場合、制作に関してはまったくと言っていいほどノータッチで、営業・進行管理としての機能が大半を占めます。営業することによって中間マージンをとるのが広告代理店の本来業務であるからです。
ただ、極めて高度な制作物を作る場合には、デザイン事務所や編集プロダクションに発注するよりも、ある程度の規模を持つ広告代理店に発注する方が、質の高い仕上がりを望める側面もあります。
会社によって差異がありますが、他の業種に比べて料金は高めだと言えます。なぜなら、デザイン事務所や編集プロダクション、印刷会社などに直接発注するよりも、請け負いの階層が増えるからです。要するに中間マージン料が増えるのです。
ただ、料金が高いなりのメリットはあるはずですので、短絡的な誤解のなきようお願いします。
デザイナーやライター、イラストレーターなどの職種には、個人でフリーランスとして活動している人がたくさんいます。上記の会社も、こうしたフリーランスの存在があるからこそ、スムーズな制作ができているのです。
ただ、その技術能力は人によって大きな差異があります。会社組織であれば上司が部下の不備やクセを補正することができますが、個人ではそういうわけにはいかないからです。
また、「責任」に対する価値観も人によってさまざまです。会社組織であれば、ビジネス社会における一般通念をある程度期待できますが、フリーランスの場合はそうとも言い切れません。会社に比べてトラブルの発生リスクが高くなることを認識しておくべきです。
個人で活動しているため、法人・団体よりもキャパシティが小さく、迅速な対策ができないケースが見受けられます。特に、人気の高いフリーランスは仕事に追われていますので、スケジュールに余裕のある制作物を依頼するのが無難です。もし、「能力が高く、キャパシティやスピードにも長けている」フリーランスが身近にいたら、非常に貴重な存在ですので大事にお付き合いしましょう。
代理店や制作会社に中間マージンを取られることがありませんので、著名人でもない限り、料金は安くなります。