文章を練る技術
●下記は、『労働組合機関紙編集BOOK』から一部を抜粋したものです。
いい文章と悪い文章
どのような文章であっても、「いい文章」と「悪い文章」とに分類することができます。機関紙におけるいい文章の条件は、おおよそ次のようになります。
(1)誰が読んでも理解しやすい
(2)誤解を受けず、正確に伝わる
(3)論理的で納得できる
(4)必要な情報が多く、不要な情報が少ない
では、上記の(1)~(4)の条件を満たすためには、それぞれどのような能力が必要とされるでしょうか?
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インプットの方法
他社の会社案内や商品カタログを読んで、「何が言いたいのかさっぱりわからない」と感じた経験はありませんか? 機会があれば注意して読んでみてください。きっと、「わけのわからない」文章と出会えるはずです。
文章の意味がわからない原因は、前ページで述べたインプットかアウトプット、あるいは両作業においてミスがあるからです。当ページでは、インプットの方法について解説します。
インプットの手順は次のようになります。
(1)情報の読み込み(内容理解)
(2)キーワードの書き出し(列記)
(3)キーワード間の関係性(分析)
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アウトプットの準備
文才のある人はあらすじを考えなくても上手な文章を書けるかもしれませんが、そうでない普通の人は、あらすじのメモをとることをお勧めします。論理の破綻を防止し、説得力ある理解しやすい文章を書くためです。
あらすじの検討にあたっては、キーワードが書かれたメモを見ながら、どのような順序で書くのが好ましいかを考えます。いわば設計作業です。
具体的には、次の作業をしましょう。
(1)重要な話題に印をつける
(2)重要な話題を意識しながら、集合体の順序を考える
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あらすじ検討の具体例
あらすじを考える場合は、言葉の表現に惑わされることなく、記事全体における意味を考えるのが基本です。
たとえば、次のような情報を記事にするとします。記事で最も言いたいことは、「来年から止めてほしい」ということです。どのようなあらすじにしますか?
- 昨日は大掃除
- 床の雑巾がけ、窓ガラス拭きが中心
- 時間は9時から17時
- 汗拭き用タオル持参
- 暑かった
- 真夏なので来年から止めてほしい
(中略)
情報(キーワード)のレベルも分析する必要があります。この場合、レベルの高いキーワードは「大掃除」と「真夏」の2つだけです。残りはすべて、それらに含まれます。
大掃除
対象......床、窓ガラス
時間......9時~17時
真夏
状況......汗拭きタオルが必要なほど
主張......時期変更
上記の順で書けば、ストーリーが1本になり、本筋もぶれないようです。たとえば次のような文章になります。
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あらすじは幹から枝へ
新聞記事、特にニュースを伝える記事では、結論から先に書くのが原則です。結論とは、記事の中で最も重要な内容(執筆者が言いたいこと)を指します。別の表現をすれば、
幹から枝へ流す
手法だと言えます。枯れ木を逆さにした流れをイメージしてください。
幹から枝へ流す利点は2つあります。
(中略)
では、前ページの例文を、幹から枝へ流れる文章に変更してみましょう。
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文章を書く際の注意事項
一文単位における書き方は次章で解説しますが、その前に文章全体について、いくつかの基本的な注意事項を記します。
(1)視点を統一
文章全体を通して、書き手の視点を統一する必要があります。視点とは、文章全体の「主語」と思っていいでしょう。視点は「私」なのか「自組合」なのか「第三者」なのか、明確に意識しながら書くことが大切です。そうでないと、理解に苦しむ文章になってしまいます。
市議会で「矛盾があるのではないか」と問いただしたところ、「矛盾はない」と答えた。
上記の場合、読点より前の視点は「私」または「質問者」ですが、読点より後の視点は「相手」または「回答者」に変わっています。
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