販促ツールや会社案内などの制作を外部の会社・フリーランスに委託する際は、誰に委託するかを選定する必要があります。選定にあたってのポイントは大きく5つに分けられます。
会社組織であっても個人のフリーランスであっても、これまでの作品見本をなにがしかの形でまとめています。初めての取引となる相手の場合は、必ずこの作品見本を見せてもらいましょう。技術レベルの測定は、その作品見本から推定するしかありません。ですから、なるべく「質を見極められる人」に同席してもらうことが大切です。
見極めのポイントは、【編集】 | プランニング、誌面構成 など |
【文章】 | キャッチコピー、日本語としての文章、情報整理、説得性 など |
【デザイン】 | テイスト、視点の誘導、静動性、ジャンプ率(メリハリ)、色使い、書体の選択、見出しの扱いなど |
【編集】 | 冊子等の全体を通して、その製品・サービスの概要が理解できるか。 |
【文章】 | 写真や図表を見なくても、書いてあることが理解できるか。 |
【デザイン】 | 見出し、写真、イラスト、本文のバランスがよいか。 |
みなさんが自社で設定した締切に間に合わせられるかどうかは、質のレベル以上に重要視されるでしょう。しかし、初めて外注する相手の制作スピードをどのように推定すればよいか? 答は簡単です。みなさんが希望するスケジュールを相手にぶつけてみればいいだけです。相手が「できる」と言えばスピードに対応できるだろうし、相手が「できない」と言えば対応できないのです。
ただ、気をつけるべき点がひとつあります。それは、相手の見積もりが甘い場合です。通常、仕事を請ける側は「できない」とは言いにくいものです。ですから、「スケジュールを守るのは難しいけど、受注してしまえばこっちのものだから、とりあえずできると言っておこう」という心理が働いてしまいがちです。
また、「順調に進めば納期に間に合うが、不慮のトラブルがあると間に合わない」という状況も少なくありません。問題は、「できる」と言った相手がそのトラブルを想定しているかどうかです。
信頼できる制作会社であれば、自ら(余裕を持った)制作スケジュール表を作ってくれます。スケジュール表を作らないまでも、「○日にデザインした初稿をお届けしますので、○日までにお戻しください」など、細かく話す会社の場合は心配ないでしょう。
逆に、二つ返事で「大丈夫です」という場合は要注意です。むしろ、「ちょっと難しいかもしれません」という会社の方が、信頼できる確率はぐっと高くなります。
フリーランスの場合であれば、能力が高い人は忙しく、能力の低い人はヒマ、という矛盾が生じます。また、急ぎの修正が生じた場合にフリーランスの方が外出していたら、当然、即時対応はできません。そのため、余裕のあるスケジュールの制作物を依頼するのが無難です。特に、初めて外注する相手の場合、大きなギャンブル性を伴います。
制作物のコストパフォーマンスを計るのは難しい作業です。安ければいいというわけではありませんし、高ければいいというわけでもないからです。もちろん、発注者としては安いに越したことはないでしょうが、安い会社に頼んだ結果、「仕上がりが悪い」「時間がかかった」「修正に伴う労力がかかった」などはよく聞かれる話です。
最も手軽なコストパフォーマンスの評価方法は、第三者の意見を聞くことです。業界に詳しい人の意見を聞けば、おそらく納得のできる回答を得られるはずです。
あるいは、複数の会社に作品見本と見積書を要請するのも効果的です。ただ、そうした場合はどうしても見積金額が安い方を選びがちになってしまいます。許容できる金額差であれば、できるだけ仕事内容を優先して選定しましょう。
作品見本や見積書ではなかなか判断のつかない作業領域もあります。いわゆる「編集」と呼ばれるものです。
※編集の業務内容については「パンフレットやチラシを作る仕組み」の編集者欄をご覧ください。
ややもすると、デザイナーと印刷会社さえいればキレイな販促ツールができると勘違いする人もいますが、それは賢明な選択とは言えません。確かに、みなさんが原稿と写真を用意し、それをデザイナー経由で印刷会社に渡せば、販促ツールは納品されます。しかし、余計な労力や時間を使わずスムーズに最適なツールができるかというと、甚だ疑問です。
ですから、発注を検討する相手には少なくとも次のことを確認しましょう。
必ずしも、上記の内容を請け負ってくれない会社が適していないというわけではありません。上記を踏まえた上で、技術選定や見積比較をすべきだということです。
信頼はビジネスの前提ですので、言うまでもないことです。みなさんの眼力でしっかりと見極めてください。
もっともこれは、制作を請け負う会社の立場でも同じことが言えます。場合によっては、仕事を受けてもらえない可能性もあります。財務状況云々だけでなく、たとえば仕事の進め方にギャップがあると、外注先から「今回は最後まできちんと終わらせて納品しますが、次回以降のお付き合いはご遠慮させてください」と言われることも、実際に少なくありません。
そういった意味では、外注先を「業者」扱いするのではなく、「パートナー」として相互協力する姿勢が望まれます。