一文を書く技術
●下記は、『労働組合機関紙編集BOOK』から一部を抜粋したものです。
必要最低限の情報
ご存知のように、文には5W1Hが必要不可欠だと言われます。特にニュース記事の場合は、5W1Hを正確に記載することが求められます。
- When いつ(どんなときに)
- Where どこで(どこに、どこへ、どこから)
- Who だれが(どんな人が)
- What なにを(どんなことを、どんなものを)
- Why なぜ(どうして、なんのために)
- How どのように(どんなふうに、どうやって)
これらを記載する順序は特に決まっていません。むしろ、これらの順番を考えることこそ「文を書く技術」だと言えるでしょう。
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文の構造はシンプルに
文節の並べ方を変えるだけで、文の持つニュアンスや意味まで変わってきます。例として、ウサギが走る状態について一文を作ってみましょう。
(1)ウサギは 速く 走る
この場合の文の構造は、主語―修飾語―述語です。非常にシンプルです。機関紙の執筆者に求められるのは、このシンプルさです。シンプルであれば、読者が理解しやすいからです。
では次に、異なる表現で書いてみましょう。
(2)速く ウサギは 走る
(3)ウサギは 走るのが 速い
(4)ウサギの 走りは 速い
(5)速く 走るのは ウサギである
(6)ウサギには 速く 走るという 特徴が ある
それぞれの文には次のような特徴があります。
(2)間違いではありませんが、順序が一般的ではないので読みにくい。
(3)たとえば次に「一方、カメは遅い」「ただ、食べるのは遅い」など、
比較対象がある時に効果的です。
(4)「ウサギ」よりも「走り」を強調する場合に効果的です。
(5)「速く走る」のはウサギだけではありません。ですから、この文は間違った情報となります。
(6)「特徴」が強調された表現です。また、「特徴」に「速く走るという」という修飾(従属節)があるため、文の構造が複雑(複文)になり、理解しにくくなります。
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一文は短く
文の構造をシンプルにするためには、文を短くする必要があります。逆に、文を短くすれば、たとえ複文でも理解しやすくなります。
カメが砂地で走るよりも速く、ウサギは木々の間を駆け抜ける。
という文も、2つに分割して一文を短くすれば、もっとわかりやすくなります。
ウサギは木々の間を速く駆け抜ける。カメが砂地で走るよりも速い。
その他、文が長いことによって「?」となってしまう典型的なケースをご紹介しましょう。
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主語と述語
これまでに述べてきたことと多少重複する部分もありますが、主語と述語に関する注意事項を列記しましょう。
(1)なるべく近くに置く
主語と述語はなるべく近くに置いてください。前ページのような「?」文にしないためです。
ウサギは、カメが砂地で走るよりも速く、木々の間を駆け抜ける。
という文よりも、
カメが砂地で走るよりも速く、ウサギは木々の間を駆け抜ける。
という文の方がわかりやすいのは、後者の方が「ウサギ」と「駆け抜ける」の位置が近いからです。
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より望ましい文を書く
その他、いい文を書くためには多くの留意点があります。ここでは、3つの重要ポイントのみを記します。
(1)情報量の密度を高める
機関紙という限られたスペースで情報を伝えるには、情報量の密度を高める必要があります。
たとえば、次の2文は情報量が同じであるにもかかわらず、下の方が9文字も多くなっています。
- さらなる改善に取り組みたい。
- さらなる改善に向けて取り組みを進めていきたい。
はっきり言って、この9文字は無駄です。同じ文字量を使うのであれば、
など、情報量の充実をめざすべきです。
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