作文や小論文に苦労している中学生(場合によっては大人の方も)のために、簡単なコツを書いてみました。ぜひご参照ください。
下記の内容はPDFでも読めます→>>ダウンロード
苦手なものがあったら、その理由を見つけて対策を考えればいい。簡単なことです。
では、あなたはなぜ作文を書くのが苦手なのですか?
もしかすると、「作文を書くのが苦手」なのではなくて、「作文を書くのが嫌だ」と思っているだけかもしれません。だったら、苦手の理由なんて考える必要はありません。
もし本当に苦手だったとしても、それはおそらく、コツがわかっていないだけです。
長く書けない? 書くことがない? 大丈夫!
作文なんて、コツさえわかれば簡単に書けます。絶対に書けます。「どうして僕は作文が苦手だったんだろう?」と思うくらい、書けるようになります。
ただ、上手に書けることとは話が別です。というか、作文が上手な人はあまりいません。大人のプロのライターだって、下手な人はたくさんいます。プロのうち半分以上が下手だと言っていいでしょう。ましてや、学校の先生なんか、もっと下手に違いありません(先生が読んでいたらゴメンナサイ)。
だから、あなたも「作文を上手に書こう」なんて思わなくていいのです。とりあえず、「チャチャっと宿題を終わらせたい」という気持ちでいればOK。その気持ちで楽に作文を書いていれば、そのうち先生顔負けの作文が書けるようになるはずです。
そのコツをこれから説明します。
作文とは、1つのテーマを説明し、自分の考えを書くものです。けっして、2つ以上のテーマを書いてはいけません。また、起こったことを順番に書くだけで終わってもいけません。1つだけのことについて、自分の考えを書く。まずは、このことをしっかりと頭に入れておいてください。
作文を書く前にまずやることは、相手のウラを読むことです。つまり、先生の意図を考えるのです。先生は、作文を書かせることで何を採点しようとしているのか?
答はたぶん、次の3つ。
(1)考えの深さ
(2)粗筋の確かさ
(3)日本語の正しさ
(1)と(2)は同じようなものです。であれば、要するに「考えが深くて日本語が正しければ、いい作文」なのです。だからとりあえず、細かいことは気にしないでいい! とにかく、何を書くか考えよう。
「とは言っても、何を書くかを考えるのがたいへんなんだよ」
そんな声が聞こえてきそうですね。でも、課題は決まっているんでしょ? 「運動会」とか「1年を振り返って」とか「読書感想文」とか。
だったら、その課題の中から
一番うれしかったこと
一番楽しかったこと
一番驚いたこと
一番悔しかったこと
一番かなしかったこと
一番よく覚えていること
初めてわかったこと
を2~3個メモしてください。メモする紙は、ノートくらいの大きさの紙に。文じゃなくて、単語を書いてください。たとえば次のような感じです。
リレー
むかで競走
応援合戦
また、書く位置は、離れた場所に書くようにしましょう。たとえば、「リレー」は紙の一番上、「むかで競走」は真ん中あたり、「応援合戦」は紙の下の方、という感じで。
「一番」のことがなければ、次のような「少し」のことでもOKです。
少しうれしかったこと
少し楽しかったこと
少し驚いたこと
少し悔しかったこと
少しかなしかったこと
少し覚えていること
少しわかったこと
メモをもっと詳しくしていきましょう。そうすれば、自然に考えが深くなり、作文の粗筋ができてしまうからです。
さっき書いたメモは、次のようなものでしたね。これがあなたのテーマ案です。わかりやすいように、■印をつけておきましょう。
例)■リレー
■むかで競走
■応援合戦
これら一つひとつについて、「なぜ印象に残っているか」をメモしてください(印は違う種類で)。たとえば、
例)■リレー
◎転んだ
■むかで競走
◎勝った
■応援合戦
◎盛り上がった
では、新しく書いた「転んだ」「勝った」「盛り上がった」のはなぜなのか? それをメモに書き足してください(例によって、印もつけよう)。
例)■リレー
◎転んだ
○足が動かなかった
■むかで競走
◎勝った
○たくさん練習したから
■応援合戦
◎盛り上がった
○わからない、なんとなく
この時、書く場所や印に注意してください。
「転んだ」は「リレー」の話の一部でしかないので、
「リレー」より少し右へ下げて、印も小さく。
「足が動かなかった」は「転んだ」の一部なので、
「転んだ」より少し右へ下げて、印も小さく。
上の■がついているテーマ案のうち、「自分しか体験していないこと」「ほかの人はあまり知らないこと」「ほかの人はあまり考えないようなこと」など、自分の特徴が表せることをひとつだけ選んでください。
その際、「先生にウケそうだから」などと優等生ぶっては絶対にいけません。あくまで、「自分しか知らないことがある」テーマを選びましょう。
ひとつ選んだら、今までの紙はゴミです。
新しい紙に、選んだものだけを書いてください。たとえば「リレー」なら次のように。前と同じように、紙の上、真ん中、下というように、間を空けておいてください。
例)■リレー
◎転んだ
○足が動かなかった
次に、自分に以下の質問をして、その答をメモに書き足してください。全部の質問に答えられなくても構いません。ただし、みんなが知っているようなことは書かないように。たとえば、運動会の日付や学校名などです。読んでも面白くないからです。
また、同じ答が2回出てきたら、どちらかを消してください。意味が遠い方を消し、意味が近い方を残すのがコツです。
・いつ
・どこで
・誰が(誰に)
・何を(何の)
・どのように
例)■リレー
・6月3日 ←みんなが知っていることは書かない
・学校の校庭 ←みんなが知っていることは書かない
・1年男子選抜リレー
◎転んだ
・ゴール直前
・僕
・倒れるように
○足が動かなかった
・ゴール直前 ←もう上で書いたので要らない
・僕 ←もう上で書いたので要らない
・左足が前に出なかった
メモに書かれていることについて、もっと詳しい説明を書き足しましょう。前にやったように、2回出てくる内容は、意味が近い方だけ残して1つにします。
例)■リレー
・1年男子選抜リレー
僕はアンカー
◎転んだ
・ゴール直前
ゴールまであと1歩というところ
・僕
1位でバトンを受け取った
・倒れるように
後ろの左足が前に出ず、左膝が地面についた ←下より意味が遠い
上体が後ろへのけぞった
○足が動かなかった
・左足が前に出なかった
左膝が地面についた
例)■リレー
・1年男子選抜リレー
僕はアンカー
◎転んだ
・ゴール直前
ゴールまであと1歩というところ
・僕
1位でバトンを受け取った
・倒れるように
後ろの左足が前に出ず、左膝が地面についた
上体が後ろへのけぞった
抜かされて2位になった
○足が動かなかった
・左足が前に出なかった
左膝が地面についた
メモに書かれていることについて、「それはなぜか?」を書きましょう。理由をメモするのです。
もちろん、理由がないものについては書く必要はありません。ただし、さきほど書いた「結果」の理由は必ず書いてください。
例)■リレー
・1年男子選抜リレー
僕はアンカー
◎転んだ
・ゴール直前
ゴールまであと1歩というところ
→150m走って疲れたから
・僕
1位でバトンを受け取った
・倒れるように
後ろの左足が前に出ず、左膝が地面についた
上体が後ろへのけぞった
抜かされて2位になった
→150m走って疲れたから
○足が動かなかった
・左足が前に出なかった
左膝が地面についた
→150m走って疲れたから
「150m走って疲れたから」は3回出てきたので1つにしたいところですが、どこに入れるのがいいか難しいので、とりあえずこのまま置いて置きましょう。
そしてもう一度、「それはなぜか?」を書いてみよう! よく考えれば、もっと深い理由があるはずです。ここが作文の大きなヤマです。深く、深~く考える。ちょっとウソっぽくてもいいので、無理やりひねり出そう。
例)■リレー
・1年男子選抜リレー
僕はアンカー
◎転んだ
・ゴール直前
ゴールまであと1歩というところ
→150m走って疲れたから
→2位のランナーが速いので、前半から全力で走ったから
・僕
1位でバトンを受け取った
・倒れるように
上体が後ろへのけぞった
抜かされて2位になった
→150m走って疲れたから
→2位のランナーが速いので、前半から全力で走ったから
○足が動かなかった
・左足が前に出なかった
左膝が地面についた
→150m走って疲れたから
→2位のランナーが速いので、前半から全力で走ったから
さて、ここで問題。3回出てくる
→150m走って疲れたから
→2位のランナーが速いので、前半から全力で走ったから
という内容は、どの2つを消して、どの1つを残せばいいでしょうか? 残すのは、周りの内容と一番「意味」が近いところです。
この問題を解くためには、印のついた行を見てください。
■リレー →この段落に書くのは「リレー」の説明
◎転んだ →この段落に書くのは「転んだ」の説明
○足が動かなかった →この段落に書くのは「足が動かなかった」の説明
この中で
→150m走って疲れたから
→2位のランナーが速いので、前半から全力で走ったから
の意味が一番近いのは……
そう、3番目です。だから、3番目だけ残して、上の2つは消してしまいましょう。そうすると、メモは次のようになります。
例)■リレー
・1年男子選抜リレー
僕はアンカー
◎転んだ
・ゴール直前
ゴールまであと1歩というところ
・僕
1位でバトンを受け取った
・倒れるように
上体が後ろへのけぞった
抜かされて2位になった
○足が動かなかった
・左足が前に出なかった
左膝が地面についた
→150m走って疲れたから
→2位のランナーが速いので、前半から全力で走ったから
さあ、いよいよ第二のヤマ。メモに
「その時、自分はどう思ったか?」
「今思うと、どのように考えるか?」
「起こったことについて、どのような意見を持っているか」
などを書き足してみましょう。
また、「ほかの人はどう考えるだろうか?」ということも書いてください。たとえば、「両親ならどう考えるだろうか」「クラスの人はどう考えるだろうか」「大人の人はどう考えるだろうか」などについてです。
書く場所は、「事実」と「考え」を分けるため、紙の右の方に書きましょう。
例)■リレー
・1年男子選抜リレー
僕はアンカー
選ばれた時はうれしかった
◎転んだ
・ゴール直前
ゴールまであと1歩というところ
もう少しだ
クラスの人は「勝った」と思ったかも
・僕
1位でバトンを受け取った
速く走らなきゃ
・倒れるように
上体が後ろへのけぞった
えっ?
抜かされて2位になった
悔しい
クラスの人は、がっくりしたかも
両親は「かわいそう」と思っているかも
○足が動かなかった
・左足が前に出なかった
左膝が地面についた
→150m走って疲れたから
→2位のランナーが速いので、前半から全力で走ったから
おや、「今考えると、どのように思ったか?」「起こったことについて、どのような意見を持っているか」が書かれていませんね。書く場所がないからですか?
それでは、一番下に大きく書いておきましょう。
去年までの僕なら、4コーナーくらいで諦めていたかもしれない。
来年こそ、体力をつけてがんばりたい。
もう一度、もっと詳しく!
なぜこのように考えたのですか? どうして去年は諦めて、今年は諦めなかったの?
その答が、あなたの作文の結論です。なぜなら、これこそ誰も知らないあなたの考えだからです。
たとえば、次のような答になるかもしれませんね。
僕は今まで、サッカークラブで諦めることが多かった。そして、諦めた時はだいたい悪い結果だった。でも、6年生の終わり頃の試合で、「諦めなければできる」ということがわかった。だからきっと、諦めない方が得だと、体が覚えていてくれたのだと思う。
この結論を読む人にわかりやすく説明できれば、作文は完成です。
あなたが書く内容はこれで決まりました。簡単でしょ。慣れればもっと楽にできます。だって、これまでやったことは次の4つだけですから。
(1)一番印象に残ったことを書く → その理由を書く → テーマ案を決める
(2)決めたテーマについて事実を詳しく書く → 結果も書く
(3)「なぜ?」を繰り返して、事実の理由を書く
(4)思いや考えを書く → 「今の考え」も詳しく書く
この4つをメモするためには、だいだい何分くらいかかるでしょうか? 15分以内でできれば、あなたはかなり優秀です。試験でも、こうしたメモを書くことは非常に有効です。いや、むしろ、「メモを書かないでいい点を取るのは非常に難しい」ことです。
隣で優等生っぽい人が原稿用紙に書き始めていても、なんら焦ることはありません。向こうは「粗筋メチャクチャ」、こっちは「粗筋ほぼ完璧」ですから。
ほぼ完成した粗筋をもとに、原稿用紙にどの順番で書くか? 少し考えてみましょう。
今、あなたが書いた粗筋は、大きく3つに分かれています。最後にメモした「思い・意見」を入れれば4つです。
A リレーの概要
B 転んだこと
C 転んだ理由(足が動かなかった)
D 思い・意見
この4つをどの順番で書くと、読む人がわかりやすいでしょうか?
A→B→C→D
ですね。つまり、メモの上から順番に書くパターンです。
ただ、メモの右に書いてある「D 思い・意見」はA、B、Cの中に混ぜないでください。事実と思いを混ぜて書くと、話がごちゃごちゃしてしまうからです。あくまで最後にまとめて書きましょう。
このパターンにしたがって作文すると、以下のようになります。
1年男子の選抜リレーで、僕はアンカーに選ばれた。
でも、僕は転んでしまった。転んだのはゴール直前。ゴールまであと一歩というところで
す。僕はせっかく1位でバトンを受け取ったのに、倒れるように転んだ。後ろへのけぞるよ
うに転んでしまったのです。だから、抜かされて2着になった。
倒れた理由は、足が動かなかったから。左足が前に出ず、左膝が地面についてしまっ
た。たぶん、150mも走って疲れたからだと思います。2位のランナーが速かったので、前
半から全力で走ったからです。
僕は、アンカーに選ばれた時はとてもうれしかった。ゴール前でも、「もう少しだ」と思っ
てがんばった。クラスの人は「勝った」と思ったかもしれない。でも、抜かされてとても悔し
い。クラスの人もがっくりしたと思います。
去年までの僕なら、4コーナーくらいで諦めていたと思う。僕は今まで、サッカークラブ
で諦めることが多かった。でも、6年生の終わり頃の試合で、「諦めなければできる」とい
うことがわかった。だからきっと、諦めない方が得だと、体が覚えていてくれたのだと思う。
来年こそ、体力をつけてがんばりたい。
どうですか? メモの通りに書いただけで、まあまあの出来栄えになるでしょう。
ただ、もっと上手に書く方法があります。それは、A・B・C・Dの中の細かい順番を少し変えるのです。特に、BとCの中が重要です。BとCの中を
理由と結果が近くにくるように、起こった順(時間経過順)に並び替えてみてください。
すでに書いたメモにナンバリングするだけでOKです。
例)■リレー
・1年男子選抜リレー
僕はアンカー
選ばれた時はうれしかった
◎転んだ
②ゴール直前
ゴールまであと1歩というところ
もう少しだ
クラスの人は「勝った」と思ったかも
①僕
1位でバトンを受け取った
速く走らなきゃ
③倒れるように
上体が後ろへのけぞった
えっ?
④抜かされて2位になった
悔しい
クラスの人は、がっくりしたかも
両親は「かわいそう」と思っているかも
○足が動かなかった
③左足が前に出なかった
④左膝が地面についた
②→150m走って疲れたから
①→2位のランナーが速いので、前半から全力で走ったから
去年までの僕なら、4コーナーくらいで諦めていたか
もしれない。
来年こそ、体力をつけてがんばりたい。
僕は今まで、サッカークラブで諦めることが多かっ
た。
そして、諦めた時はだいたい悪い結果だった。
でも、6年生の終わり頃の試合で、「諦めなければで
きる」ということがわかった。だからきっと、諦めない
方が得だと、体が覚えていてくれたのだと思う。
順番を直して作文すると、以下のようになります。
1年男子の選抜リレーで、僕はアンカーに選ばれた。
僕は1位でバトンを受け取った。でも、ゴール直前、ゴールまであと一歩というと
ころで転んでしまった。上体が後ろへのけぞってしまったのだ。そのせいで、抜かさ
れて2位になった。
倒れた理由は、足が動かなかったから。2位のランナーが速かったので、前半から
全力で走ったのですが、150mも走って疲れたからかもしれません。左足が前に出ず、
左膝が地面についてしまった。
僕は、アンカーに選ばれた時はとてもうれしかった。ゴール前でも、「もう少しだ」
と思ってがんばった。クラスの人は「勝った」と思ったかもしれない。でも、抜かさ
れてとても悔しい。クラスの人もがっくりしたと思います。
去年までの僕なら、4コーナーくらいで諦めていたと思う。僕は今まで、サッカー
クラブで諦めることが多かった。でも、6年生の終わり頃の試合で、「諦めなければ
できる」ということがわかった。だからきっと、諦めない方が得だと、体が覚えてい
てくれたのだと思う。
来年こそ、体力をつけてがんばりたい。
前よりはずいぶん整理された文章になりました。もちろん、表現方法を直せばもっと上手に書くことはできますが、粗筋としては合格点です。
ただ、この作文を読んでいる人はあまり面白くありません。なぜなら、「びっくり」しないからです。そこで、びっくりしてもらう方法を教えましょう。
Dの「思い・意見」の中から、ひとつだけを一番前に移動するのです。
たとえば、転ぶ瞬間に「えっ?」と思ったことを一番前に移動してみましょう。また、何の思いかわかりやすいように、その思いに関係する事実も、ほんの少しだけ前に移動してください。話の流れに沿って、少し書き方も変えてみましょう(赤字部分)。
「えっ?」
気がついたら、僕は左膝を地面にこすりつけていた。1年男子の選抜リレーのことだ。僕はアンカーに選ばれていた。
スタート時は1位でバトンを受け取った。でも、ゴール直前、ゴールまであと一歩という
ところで転んでしまった。上体が後ろへのけぞってしまったのだ。そのせいで、抜かされ
て2位になった。
倒れた理由は、足が動かなかったから。2位のランナーが速かったので、前半から全力
で走ったのですが、150mも走って疲れたからかもしれません。左足が前に出ず、左膝が地面についてしまった出なかった。
僕は、アンカーに選ばれた時はとてもうれしかった。ゴール前でも、「もう少しだ」と思っ
てがんばった。クラスの人は「勝った」と思ったかもしれない。でも、抜かされてとても悔
しい。クラスの人もがっくりしたと思います。
去年までの僕なら、4コーナーくらいで諦めていたと思う。僕は今まで、サッカークラブで
諦めることが多かった。でも、6年生の終わり頃の試合で、「諦めなければできる」という
ことがわかった。だからきっと、諦めない方が得だと、体が覚えていてくれたのだと思う。
来年こそ、体力をつけてがんばりたい。
ほかの「思い・意見」を最初に書いてもうまくいくはずです。
粗筋ができていれば、文を書くことは恐れることはありません。普段通り書くだけで、今までよりも上手な作文が出来上がるでしょう。
ただ、さらにレベルの高い作文を書きたい人は、まだまだ勉強すべきことがあります。そうした人は別途ご相談ください。その人のレベルに合わせた教材を提供できるよう考えてみます。
「とりあえず、今よりマシになればいいや」という人は、下のコツを頭に叩き込んでください。それだけでも、これまでとは見違えるような文になるはずです。
誰でも知っていることは書いても意味がありません。手が疲れるだけです。
ただ、「1年男子選抜リレー」など、自分が決めたテーマについては、ごく簡単でいいので書いておきましょう。そうでないと、「何の話?」とわけがわからなくなります。
文の「。」から「。」まではとにかく短く! 一文が長いと、読む人が理解するのに苦しみます。3行以上なんてもってのほか。極端に言えば、短ければ短いほどいい! あなたが書いているその長い文、2つか3つに分けられるのではありませんか?
修飾語が長いと、話が混乱してしまいます。たとえば、次のような文。理解できますか?
例)昨日、遠足でいった昭和記念公園でお弁当を食べた時、隣に座った先生の弁当箱
の中のみかんにケチャップがかかっていて、「まずそう」と思った。
この文はほとんど修飾語です。しかも、複文となっています(修飾語の中に主語と述語があること)。だから次のように、一文を短くして修飾語を簡単にしてください。
例)昨日は昭和記念公園への遠足。お弁当の時間、僕の隣には先生が座った。そうし
たら、先生の弁当箱の中がふと目に入った。するとなんと、みかんにケチャップがか
かっている! 「まずそう」。思わず私はつぶやいてしまった。
主語と述語って知っていますよね? 知らなければ調べてください。
主語と述語の間が遠い(長い)と、とても読みにくい文になります。ですから、主語と述語はできるだけ近くに置きましょう。
もっとも、一文を短くすれば、自然に主語と述語は近くなります。
◆「私は」「ぼくは」を連発しない
作文を書いているのはあなた。そんなことはわかっています。ですから、何度も何度も「私は」「ぼくは」と書くのは止めましょう。小学生のような作文になってしまいますよ。
一文の最後(「。」の直前)に同じ言葉が連発するのも避けましょう。特に、「だった」「でした」「ました」「ます」「です」「だ」など。少なくとも、3回に1回は違う言葉で文を終わりましょう。時々、体言止め(名詞で文を切る)を使うのも有効です。
作文を書いていると、メモと違うことが思い浮かんできます。でも、それば悪いことではありません。むしろいいことです。思い浮かんだことをどんどん書きましょう。そうすれば、自然に原稿用紙の枚数も稼げます。
ただ、あまりにも粗筋と違ってしまうのはダメ。「だいたいは粗筋通り、細かくは粗筋より多く」がベストです。
書くのが速いと、自然に文のリズムがよくなり、読みやすい文章ができあがります。逆に、書くのが遅いと、話があっちに行ったりこっちに来たりします。理想は、頭に思い浮かぶスピードと同じくらいのスピードで手を動かすことです。
原稿用紙2枚書かなくちゃいけないのに、1枚で終わってしまいそう……。
そんな、字数が足りない時は、「音」「会話」「様子」「表情」「匂い」などを詳しく書けばいいだけ。とにかく長くしたい時の秘策です。
ただ、どうでもいい内容を長くしてしまうと、せっかく考えた粗筋が台無しです。ですから、「作文全体の中で重要なこと」について長くしましょう。
例)昨日は昭和記念公園への遠足。お弁当の時間、僕の隣には先生が座った。そうし
たら、先生の弁当箱の中がふと目に入った。するとなんと、みかんにケチャップがか
かっている! オレンジ色の上に茶色い色。というか、ほとんどがケチャップの茶色
で、みかんのオレンジ色は1センチ四方くらいしか見えていない。
――ウソだろ、おい。
匂いも心なしか、濁っているような気がする。
「まずそう」。思わず私はつぶやいてしまった。
>>PDFファイルをダウンロードすればもっと読みやすくなります(無料)